キャリアカウンセラーとの違い
■ドリームキラーに相談するな!
僕のところに、
よく来る相談のひとつに、
こんなものがあります。
今の仕事にやりがいを感じられず、
転職を考えて派遣会社に行ったAさん。
その派遣会社で、
キャリアカウンセラーの方に、
相談したそうです。
「事務の仕事を3年ほどして、
どうしても今の仕事では充実できないので、
高校のときから憧れていた、
デザインの仕事に転職したいんです。
未経験の私なんかでも、
デザインの仕事には就けるでしょうか?」
「何か資格などは持ってるんですか?」
「…いえ、いまは持っていません。」
「Aさんね、
資格もないし専門学校にも行ってないのに、
デザインの仕事をしたいといっても、
それはちょっと無理だと思いますよ。
もっと現実的なことを考えたほうが、
今後のキャリアデザインになるのでは?」
「…はあ、そうですか。」
「いままでと同じ事務で転職するのが、
年齢から考えても無難な道ですよ。
いまAさんが応募できる案件は、
うちではこんなのを紹介できますけど…。」
結局その日は、
「夢」を打ち砕かれた上に、
幻滅している事務の仕事を紹介され、
しょんぼりと落ち込んで帰ってきたそうです。
Aさんは僕に言います。
「やっぱり私なんかには、
デザインの仕事はできないんでしょうか…?
こんなことで落ち込むなんて、
私にとってデザインは、
やりたいことではないのでしょうか…?」
「一度はあきらめたとはいえ、
Aさんは10年経った今でも、
デザインの仕事が気になるんですね。
夢みたいだろうがなんだろうが、
誰がなんと言おうと、
それはAさんの、
素直な気持ちではないですか?
自分の素直な気持ちを、
無視する必要はないと思いますよ。」
Aさんは僕と一緒に、
「どうやったらデザインの仕事に就けるのか」、
「そのためにまずいま何をするべきなのか?」、
そこから考えはじめました。
やりたいことを仕事にするにも、
資格や学歴が必要になる。
やりたいことを仕事にするより、
いままでと同じ仕事に就いたほうが、
安定して食べていくことができる。
それはある意味では、
正論かもしれません。
でも僕は、思います。
いままでやってきた仕事では、
自分は幸せになることができない。
それが嫌というほどわかったから、
やりたいことを見つけたいと思った。
いまを逃したら挑戦する機会が、
もうないと思ったからこそ、
やりたいことに挑戦したいと思った。
そんな人たちを応援しないで、
いったい何がカウンセラーなのだろうか?
「やりたいことがわからない…。」、
「やりたい仕事に就けるだろうか…?」、
そんな悩みを抱えている人は、
僕たちカウンセラーに、
本当に思っていることを相談して、
「子供みたいなこといってないで、
もっと現実を見なさい…!」、
そう怒られるのではないかと、
不安な気持ちで相談にやってきます。
誰かのところに相談に行くにも、
結構な勇気が必要なものです。
僕はすくなくとも、
そんな人の勇気を無駄にすることは、
絶対にしたくありません。
夢を持ってる人に向かって、
「あんたなんかには無理だから、
そんなことはあきらめなさい」、
なんて言う人たちのことを、
『ドリームキラー』といいます。
実は僕自身、はるか昔のことですが、
キャリアカウンセラーの方に、
「心理カウンセラーになりたいんです」、
と相談したことがありました。
そのときもやっぱり、
「中越さん、心理職なんて、
ほとんどの人が食べていけない世界ですよ。
今の会社にずっといたほうがいいですよ。」
といわれてしょんぼり落ち込みました。
でもいまはやっぱり、
「やりたいことをやってよかった。」、
そう思っています。
だって、毎日の仕事が、充実してますから。
キャリアカウンセラーは本来、
相談者の人生すべての面からにおいて、
どんな働き方をするのが一番幸せか、
それを一緒に考える人のはず。
ですがいま現在、
日本のキャリアカウンセリングは、
どうしても職業斡旋業のひとつに、
なってしまっています。
そうなってしまった原因には、
キャリアカウンセラーの活躍の場が、
職業斡旋業社の中にしか、
ほとんどないことがあると思います。
独立して働くキャリアカウンセラーは、
全体の中では本当に、ごくわずかしかいません。
職業斡旋業社の中で働く以上、
契約に結びつく仕事を紹介する。
それはいたって、
当然のことだと思います。
また、不況の中、就職率を上げるために、
キャリアカウンセラーを増やしてきたという、
日本社会の背景もあると思います。
だから、長引く不況で、
失業率がとても高かった日本では、
キャリアカウンセラーが斡旋業に精を出したのも、
決して間違ったことではないと思います。
契約に結びつけるために、
失業率を少しでも上げるために、
とりあえずすぐに就ける仕事を紹介する。
それはそれで、
すごく重要な仕事だと思います。
実際、紹介予定派遣などで、
助かっている人もたくさんいますから。
人材ビジネスは、
特に競争が激しいといわれる世界。
そういう場所で働いているキャリアカウンセラーが、
ついついドリームキラーになってしまうのも、
僕にはわからないでもありません。
もし、あなたの悩みが
「とにかく早く就職したい」、
「いまより待遇のいい会社に就職したい」、
「履歴書、職務経歴書の書き方がわからない」、
であるならキャリアカウンセラーに相談すれば、
すぐに悩みは解決するでしょう。
きっと彼らは力になってくれるはずです。
でも、もしあなたの悩みが、
「情熱を傾けられる仕事を見つけたい」、
「本当にやりたいことを見つけたい」、
「一生をかけられる仕事を見つけたい」、
のであるならば、
「特別な才能がないと無理。」
「資格や学歴もないクセに。」
「もっと現実を見なさいよ。」
こんなことをいう人に、
ドリームキラーなんかに、
やりたいことを相談しないで下さい。
まだ挑戦もしてないうちから、
人の夢をつぶすようなことをいう人に、
やりたいことを相談しないで下さい。
あなたのやりたいことが、
どんなことであっても応援してくれる人。
そんな人に相談してください。
相談するべき人を間違えて、
自分の夢をつぶさないで下さい。
僕は1人の心理カウンセラーとして、
あなたの夢、やりたいことを、
応援させていただきます。
※追記
毎日、がんばっている、
キャリアカウンセラーの方々へ。
この文章を読んで気分を悪くされたら、
大変申し訳ありません。
未熟で力不足な文章しか書けず、
己の力量を嘆いております。
みなさんの気分を悪くすることが、
この文章の目的ではありません。
当たり前のことですが、
キャリアカウンセラーのすべての人が、
ドリームキラーではありません。
僕の知ってるキャリアカウンセラーにも、
夢を持っている人を応援できる人も、
職業斡旋以外の契約外の相談に乗る人も、
やっぱりたくさんおられます。
でもそれだけに、
いまのキャリアカウンセリング業界の、
職業斡旋業に偏りすぎの現状をみて、
とても残念なことだと思います。
仕事で悩んでいる人の力になるために、
キャリアカウンセラーの資格を取ったけど、
実際、キャリアカウンセラーとして、
思っていた通りの活動ができず悩んでいる…。
そんなキャリアカウンセラーを見ることも、
いままでに何度かありました。
組織に入っていると、日々のお仕事の中、
理想どうりの活動をすることは、
なかなか難しいことかもしれませんね。
みなさん、大変なご苦労の中、
少しでも相談者の力になるために、
尽力されていることだと思います。
相談者の人生すべての面からにおいて、
どんな働き方をするのが一番幸せか、
それを一緒に考えることができる。
そんなキャリアカウンセラーが、
1人でも増えることを、
心より願っております。




