事例4 「電気屋さんのピアノ」

事例4 「電気屋さんのピアノ」

天職探しカウンセリング事例集
事例4 「電気屋さんのピアノ」

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やりたいことがわからないとき、

本当に好きなことから、

目をそらしているケースが多いです。


今回紹介するのは、

まさにそういう事例。


これはかなり面白い事例ですよ!




■本当の好きから目をそらす…




事務系の資格を持ち、

一般事務をしている20代半ばの女性、

Iさんの事例です。


もともとIさんは、

自己カウンセリングプログラムを、

受講していただいてました。


プログラムの中で出たやりたいことは、

「茶道家」というものでした。


でも、「茶道家」という仕事は、

Iさんにとっては、

「自分にウソをついているような気がする」

のだというのです。


何度かサポートでやり取りしたものの、

どうしてもやりたいことに対して、

しっくりこないということでした。


そこで直接、カウンセリングを、

受けていただくことになりました。



カウンセリングの最初にIさんは、

今の仕事についてお話されました。



「もう今の仕事は、限界なんです。
 
 お給料を頂いているにも関わらず、

 こんな気持ちで働き続けるのは、もう嫌です。
 
 誰のせいでも無いのですが・・・。(涙)


 いまの職場に移ってから、

 どうしても仕事がうまくいかなくて…。

 何をやってもうまくこなせないんです…。


 以前もいまと同じ、

 一般事務の仕事をしていたのですが、

 社内で移動があって今は別の職場で、

 事務の仕事をしてるんです。


 同じ仕事でも以前の職場では、

 やりがいを持って働けていたのに…。

 いまの職場では何をしても、

 先輩や上司に注意されてばっかりで…。

 もう本当に限界なんです…(涙)」



いまの職場が本当にすごくつらいようで、

いまの自分の状況を泣きながら話されました。


かなりつらい気持ちが、

たまっている様子でしたので、

30分ほどかけてゆっくりと、

つらい気持ちを吐き出していただきました。



つらい気持ちを話すことで、

気分が落ち着いたのか、

そのあとIさんはいいます。



「今の仕事がうまくいっていないのも、

 なんというか良い機会というか、

 やっぱり本当にやりたいことを見つけて、

 それを仕事にしたほうがいいと思うんです。


 そう思って社会人になってから続けている、

 茶道という趣味があって、

 だから茶道家になろうと思ったんですけど、

 なんか違う気がするんです…。


 茶道家になりたいと思ったのは、

 一番安定していてなりやすいからかなと、

 そんな感じもすごくするんです。


 茶道だけでは食べて行くことが難しいから、

 他の仕事をしながらずっと学び続けて、

 いづれ結婚しても副業という形をとって、

 一生の仕事にしようかと・・・。」



なるほど、実は僕からすると、

茶道家というのも、

大きな夢のように感じてました。


でも、Iさんにとっては好きだけども

本当にやりたいことではなく、

「安定してなりやすいから選んだ職業」、

なのだったのです。



事務以外の仕事で食べていける仕事、

趣味でやっている茶道なら、

ゆっくりと時間をかけて学べば、

手に職がつくのではないだろうか…。


そしたら嫌なこの仕事からも、

逃れることができるかもしれない。

そんな気持ちだったのかもしれません。


とにかく今の仕事がつらいときは、

「何か手に職をつけて他の仕事を…」、

そう思うのも無理はないかもしれません。



たしかにそれは、

間違ったことではないけども、

やりたいこととは少し違う感じがします。


だから、

「自分にウソをついているような気がする」、

とおっしゃっていたのだと思います。



そこで茶道以外に好きなことや、

興味のあることがないか、

Iさんに訊いてみました。


仕事のつらい話をたくさんして、

すっきりして僕と信頼関係もできたのか、

好きなことに対しても恥ずかしがらず、

割とすんなりと話していただけました。



「…あの、昔から音楽とか絵を描くこととか、

 芸術に関することが好きなんです。

 楽器を演奏することも好きだし、

 ほかにも芸術に関することは好きなんですよ。


 中学生のときも美術の時間と、

 ピアノを弾いているときは、

 時間を忘れて人の評価も気にせずに、

 本当に没頭することができたんですよ!」


 
今の仕事の話とはうってかわって、

芸術に関する話では非常に楽しそうに、

いろいろと芸術に関する話をしてくれました。



「でも、芸術家になるのは、

 怖くて仕方がないんです…。


 大学生のときに母に、

 芸術家になりたいといったら、

 あなたには才能がないから、

 辞めておきなさいと言われて…。


 それでやっぱり無理なんだと思って、

 芸術家になるのはあきらめたんです…。」



ここでこの回のカウンセリングは、

終了の時間に近づいてました。


ここまでのカウンセリングでは、

やはり好きなことを仕事にしたいこと、

それから芸術に関することが好き、

そういうことがわかってきました。


そこで最後に簡単な宿題を出します。


「一日に5分でいいので、

 何か芸術に関することに触れる時間を、

 持って欲しいんです。


 音楽でもいいし絵を描くことでもいいし、

 Iさんはどっちがいいですかね?」


そう聞くとIさんは、


「ああ~、音楽もいいし、

 でも絵を描いたりするのも、

 捨てがたいですね~。」


と楽しそうに、良い意味で、

なかなか決められない様子でした。



一度目のカウンセリングでは、

芸術が好きだとわかっただけで、

十分かもしれません。


音楽か絵を描くことか、

あせって決めてしまうことは、

余計に好きなことがわからなくなる、

そんな可能性もあります。



そこで今回は、

「一日に1回、5分でいいから、

 何か芸術に関することをする。」

という宿題を出すことにしました。



この宿題には二つ狙いがありました。


ひとつはもちろん、

好きだという気持ちを確かめること。


たとえ好きなことであったとしても、

それから何年もはなれていることは、

好きだという気持ちが不確かになって、

自信を持って好きと言えなくなります。



Iさんももう何年も、

芸術に関することはしてないとのこと。



特に母親から、

才能がないから辞めろといわれたのでは、

自信を持てなくなって当然です。


だから好きかどうかを確かめるためにも、

ほんの少しの時間でいいから、

芸術に触れてもらうことにしました。



もうひとつの目的は、ストレス対策です。

今の仕事が本当につらい。

そのことは僕にも痛いほど伝わってきました。


かといって今の時点で、

会社を辞めたり長期休養をとるのも、

ちょっと無理があると感じました。


そこで一日にほんのちょっとの時間、

自分のための時間、自分が楽しめる時間、

そういう時間を持ってもらうことにしました。


ほんのちょっとの時間でいいので、

一日にそういう仕事とは別の時間、

自分のための楽しめる時間を持つことは、

ストレス対策としても有効です。




さて、この一日5分の芸術が、

Iさんの人生を大きく変えていきます。




宿題を出してから、3週間後、

2回目のカウンセリングが始まると、

もう声のトーンが違います。



「先生、

 音楽とか絵を描いたりとか、

 毎日、宿題やったんですよ。


 一日5分って言われてたんですけど、

 気がついたら30分とか1時間とか、

 それくらい普通に時間が過ぎていて(笑)


 楽しくって仕方がないっていうか。

 私にとって芸術って、

 息をするのと同じくらい、

 大切なことだったんですよ。


 何でこんなに大切なことを、

 やらないでいたんだろう、

 忘れてしまっていたのだろうって。


 ああやっぱり私は、

 こういうことが好きなんだな~って(笑)」



明らかにIさんは、

元気になっていました。


いまの仕事についても、

つらいのは変わりないけども、

少し認識が変わってきています。



「先生のメールセミナーで、

 職人タイプとかクラフツマンの話を読んで、

 ああ、私は絶対にこれだ!って思ったんです。


 同じ仕事でも前の職場で楽しかったのは、

 割と一人で仕事をやるって言うか、

 自分で考えて仕事を組み立てたんですよ。


 大切だと思うところは時間をかけて、

 納得いくやり方でできたっていうか…。

 そういうのが私にはあってたなって思うんです。

 
 でもいまの職場はチームワークが大切で、

 質よりスピードのほうが大事なんです。

 

 前の仕事が楽しかったのは、

 仕事そのものが好きだったっていうより、

 そういうところが大きかったんだな~って、

 それがすごい納得できたんですよ。」



前回は仕事がつらくて、

感情があふれ出ていましたが、

同じように仕事がつらくても、

このときは冷静に自分を見つめています。


この2回目のカウンセリングでは、

十分すぎるほど順調なお話でした。


やりたいことが芸術方面にある。

それはほぼ間違いなさそうです。


ストレスに関しても、

もちろんつらさはあるものの、

非常に好転していると感じます。



何よりも1日5分の芸術、

日々に楽しい時間、

充実を感じる時間がある。


そのことが大きく気持ちを変え、

前に進むための力を感じさせます。



そこで2回目のカウンセリングの宿題は、


「一日に1回、5分でいいから、

 何か芸術に関することをする。」、


それとさらに、


「芸術を仕事にする方法を、
 
 楽しんで創造的に考えてみる」


ということをやってもらうことに。







ところが・・・










この宿題がうまくいきません。

むしろ逆効果になってしまいました…。











3週間ほど経過して、

3回目のカウンセリングで、

Iさんは言います。



「先日カウンセリングをしていただいてから、

 気持ちの変化が激しくて…、


 1日5分の芸術をがんばろうって、

 自然に思うこともありますし、

 逆に、なんか逃げたいっていうか…、

 ストレスに感じたりするんです…。」




あまり言いたくありませんが、

正直に言うと、これは僕のミスです。


あまりにも前回の経過が順調だったので、

早くカウンセリングを進めすぎました。



「息をするのと同じくらい、

 私には芸術が大切。」



その言葉で僕は、

少しずつ仕事にすることを考えても、

もう大丈夫なんじゃないだろうかと、

先走ってしまいました。



確かに結果としては、

芸術が仕事でいいのですが、

Iさん自身の気持ちが、

まだ追いついてきていません。



早すぎるカウンセリングの進行は、

余計なプレッシャーを与えて、

逆効果になることもあります。




好きで自然に楽しめることでも、

仕事にしようと思うと、

プレッシャーがかかります。


「仕事にしようと思ってるんだから、

 うまくできて当然、

 うまくできなきゃいけない…。」


そう感じてしまう人が、

やりたいことがわからない人には、

実はかなりの割合でいるのです。


そしてうまくできなきゃいけない、

そんなプレッシャーを感じた途端に、

好きなことも楽しくなくなります。


人の評価を気にしながら何かをするのは、

楽しくなくって当然なのです。



仕事のつらさも前以上になっています。



「いまの職場の先輩に、

 この仕事に向いてないから、

 辞めたほうがいいんじゃないかって、

 そういうことをいわれて…(涙)


 でも、みんなが激励してくれても、

 どうしてもがんばろうと思えないんです(涙)


 周りの人に迷惑なんじゃないかって、

 でもどうしてもがんばれなくて…(涙)」




Iさんにとってこのあたりの内容は、

かなり精神的にこたえた内容だと思います。


今回もじっくりと時間をかけて、

感情を吐き出してもらいました。


つらかった気持ちや抑えていた感情が、

あふれだして泣いている。


カウンセリングで泣くこと自体は、

決して悪いことではありません。


むしろカタルシス効果といって、

泣いて感情を発散、吐き出すことで、

心が元気を取り戻します。


泣きたい気持ちがあるのに、

誰にも相談せず気持ちを溜め込むほうが、

ストレス対策としては問題です。




今の仕事のつらさを吐き出した後、

自分自身について話されました。



「私は子供のころ、

 親の前でも先生の前でも、

 いつもいい子を演じていたんです…。


 でも、そうやって生きてきたから、

 いまこうなってしまったのかなって…。」


「そうか、Iさんはずっと、

 いい子を演じてきてたんですね。」



そういういい子を演じていた自分を、

プラスになっていたと思う面もあるものの、

やはり肯定的には捉えていない様子です。



「ああ…、うん、でも…、

 中学のときもピアノと美術の時間だけは、

 自分を演じずに自然に楽しめたんです。」



急に話が芸術に戻りました。

でも、「自分を演じずに自然に楽しめた」、

それを覚えていてくれるのはラッキーです。


「中学校のときのピアノと美術の時間は、

 演じることなく自然に楽しめたんですよね。


 そのときどんな気持ちだったか、

 どんな感覚だったか思い出せるかな?」



少し黙り込んだ後、Iさんはいいます。



「…はい、思い出せます。」


「じゃあそのときと同じ感覚で、

 あしたから何も考えず、

 うまく出来るとか食べていけるとか考えず、

 自然体で1日5分芸術できるかな?」


「ああ…、うん、はい!大丈夫です!」



自然に楽しめた感覚を思い出すことで、

1日5分の芸術を楽しめそうになったのか、

Iさんの声はとても明るいです。


人の評価やうまくできるかなんて、

気にしないでやればいいんだといっても、

人間やっぱり気にしてしまいます。


それは理屈ではわかっていても、

どうすれば気にせずにいられるのか、

気持ちの切り替え方がわかりません。



それなら自然に楽しめたときの感覚を、

思い出しながらやってもらったほうが、

ずっとやりやすいです。


ただそういう感覚というのは、

言葉で説明できるものではありませんから、

本人がこの話を出してくれてよかったです。



この回のカウンセリングはここで終了。


たくさん泣いてすっきりしたのと、

芸術の楽しさを思い出すための光が見えたので、

非常に元気になっていただけました。




それから2ヶ月ちょっと間が開いて、

4回目のカウンセリングの予約が入りました。



カウンセリングが始まってすぐ、

「最近、おみやげ屋さんで見たマグカップが、

 なんかすごくいいな~って感じたんですよ。」

こんなことをおっしゃいました。


ちょっと今までの流れとつながってなくて、

最初は何の意味かわかりませんでしたが、

芸術が好きな方なので、

良いデザインのものがあった、

そういう意味かと思っていました。



そしてまた、仕事の話に戻ります。


「いまの職場の先輩に嫌われているというか、

 私にだけ冷たくしてくるんです…。

 
 その先輩は完ぺき主義で気が強いというか、

 自分がこうだと思ったことを強く通すんです。

 その人はすごく安定志向が強い人で…。


 でもその先輩も、

 いまの職場だからそうなったのかなって、

 そう思ったりもするんです…。」



仕事の話を少しして、

今度は芸術の話になりました。


「ジャズのボランティアで、

 ピアノを弾くことがあるんです。


 あの…、一日5分の芸術なんですけど、

 ピアノを弾くことがほとんどだったんです。



 さっき言ってたマグカップも、

 音符のマークがついていて、

 それがすごく気に入ったんですよ。


 やっぱりピアノが一番好きだな~って…。
 
 ピアノっていっても何でもいいんじゃなくて、

 ジャズとか自分が好きなのがいいんですけどね。



 でも、いまは一人暮らしで、

 うちには大きいピアノがないんで、

 大きな電気屋さんによって、

 勝手にピアノを弾いてるんですけどね(笑)。


 いつもはヘッドホンをして弾くんですけど、

 こないだちょっと勇気を出して音を出してみたら、

 店員さんがこっちを見て恥ずかしかったです(笑)。


 でもやっぱりそれからも、

 隠れてこっそり弾いてるんですけどね(笑)


 
 そう、こないだキャンプに行ったときも、

 友達がハンドピアノを持ってきていて、

 私がずっとそれを弾いていたら、

 本当にピアノが好きなんだねっていわれたんです。


 最近やっぱりこう、

 人にピアノを聴いてほしいなって、

 思うようになってきたんです。





 ・・・・・・・・・・。




 …本当は先生のプログラムをやったときも、

 一番最初に出てきたのはピアノだったんですけど…。


 やっぱり一番好きなことから、

 ずっと目をそらしていたんだなって…。

 

 なんていうか子供のころ、

 あまりピアノが好きじゃなかったんです。


 いや、好きじゃなかったというか、

 高いピアノを親に買ってもらったんです…。


 でもあまりピアノを弾かない時期があったりして…。

 それでちょっと親に言われたことがあって…。


 なんかそれから親の目を気にしてしまって、

 ピアノを楽しめなくなってしまったんですよね。」



4回目のカウンセリングはここで終了。


一ヶ月しばらくして、

Iさんからメールがありました。


メールの件名には、

「アドバイスいただけませんでしょうか?」、

とありました。


その相談の内容とは簡単に言うと、


「異業種交流会に行こうと思うので、

 名刺を創ろうかと思います。


 私は一般事務で名刺がないので、

 思い切ってピアノ演奏で、

 名刺を創ろうかと思います。


 そこで出会った人から、

 ピアノの仕事をもらえたらいいなと思います。


 でも私は営業なんてしたことないし、

 夢物語だとバカにされないだろうかと、

 不安に思う気持ちも50%あります。


 でも、少しでも可能性があるなら、

 やってみたほうがいいかなという気持ちも、

 やっぱり50%あります。」


そんな内容のものでした。



「もし異業種交流会で、

 ピアノの仕事を取れなくても、

 名刺を作ることは、

 きっといい気持ちの変化がありますよ。

 ぜひやってみてください。」


僕は名刺を創ることを、

強く勧めました。



自分で自分を、

「~をする人です」と名乗ることは、

その気持ちを固定化することに有効です。


「私はピアノ演奏者です。」と、

思い切って名刺を創ってしまえば、

ピアノ演奏者になりたい気持ちは、

大抵の場合、強く固定化します。



逆にいつまでたっても名乗らなければ、

「ピアノで食べていけたらいいけど、

 私なんかにはどうせ無理…。」と、

中途半端な気持ちのままです。




さて、僕が失敗してしまった、

2回目のカウンセリングの宿題、


「芸術を仕事にする方法を、
 
 楽しんで創造的に考えてみる」、


僕から何もいわなくても、

名刺を創って異業種交流会で配ろうと、

自分からおっしゃってこられました。


本当はこのタイミングが、

仕事にする方法を考え始める、

ぴったりのタイミングだったのです。



カウンセリングがうまくいっているときは、

仕事にする方法を考えろといわなくても、

自分でちゃんと前に進もうと考えます。


どのクライエントにもいえることですが、

Iさん自身の中に問題を解決する力が、

しっかりと眠っていたのです。


その眠っている力を引き出すことが、

カウンセラーの仕事です。



そのためには相談者にとって、

無理のないペースであることが必要です。

(スモールステップであることが大切)


早すぎるとプレッシャーを感じます。

クライエント自身のタイミングまで、

待たなければなりません。


だからカウンセラーの仕事は大半が、

聴くことであり相談者と共に歩むことです。


結果として、

この事例は順調に進んではいますが、

Iさん自身のタイミングまで、

もっとゆっくり待てればよかったなと、

少し反省もしています。



さて、僕の反省はともかく、

名刺を創った後、Iさんから、

カウンセリングの予約が入りました。

Iさんはいいます。



「ピアノの仕事はまだ取れていませんが、

 名刺を配ったことで、

 本当に気持ちに良い変化がありました!


 まだ絶対に何があっても、

 ピアノで食べていくぞって、

 そんな気持ちにはならないですけど、

 いまは本当にピアノが楽しいです。」



完璧ではないものの、

やはり前に前進しています。


会社のほうでも変化があったようです。



「実は会社で異動があるんです。

 あまり良い意味での異動ではないのですが、

 新しい部署では一人でやる仕事が多いので、

 ある意味私にとっては、

 そのほうがいいかもしれません。」



それからお父さんに、

ピアノで食べていきたいと話したこと、

そしてお父さんが応援してくれたこと。


そんなことをお話した後、

またIさんから提案がありました。



「ピアノで食べていくっていっても、

 どうしたらいいのかわからなくて…。


 私は教えることも好きではあるし、

 ピアノ講師がいいのか演奏家がいいのか…。


 だからピアノ講師の人と演奏家の人に、

 実際にあって話を聴いてみようと思って。」



「それはいいですね!

 ぜひやってみてください。」


僕はこれも強く勧めました。


プロの人に実際に話を聴きに行くのは、

やりたいことを見つけるためによいと、

よく言われる方法ではあります。


でも、実際には知らない人に、

急に話を聴きに行くのは、

やっぱり結構敷居が高いです。


その高い敷居を越えるためには、

やはりIさんのように一日5分を続ける、

自分の名刺を創って配ってみる、

そういう積み重ねや成長が必要です。



いまのIさんならこれくらい、

実際にやってしまえるはず。


もし多少トラブルがあったとしても、

ピアノを嫌いにはなりはしないはず。


そう思えたから強く勧めました。


Iさんのカウンセリングは、

いまのところこれが最後です。



さて、その後、

この事例の紹介のために、

何度かIさんとメールをしました。


そこにあった近況報告の内容を、

いくつか抜粋して紹介したいと思います。



読みやすいよう改行等を加えたのと、

一部修正をしていますが、

基本的には原文のままです。


いくつかすごく深い言葉、

本質を語っている言葉があります。

ぜひ読んでみてください。



===========================

先日、ピアノ講師(兼、伴奏家)の方と、

音楽家(兼、フリーのピアノ講師)の方に、

お会いしてきました。


先生、私、

もしデスエデュケイションを尋ねられるとしたら、

はっきりと分かりました。


(デスエデュケイションとは死から学ぶこと。
詳しくはこちらを参照ください。
http://blog.happy-career.com/?eid=885903 )


もし後3日しか生きられないとしたら、

何で一度でもピアノ演奏をしなかったのだろうと、

きっと後悔するはずです。



聴いてくれる人の評価だとか、

色々と考えて実行せずにいる自分が、

顔を出してきたりしそうですが、

とにかく挑戦していかないと絶対に後悔する、

とはっきりと分かったのです。


実は、先生の講演会を聴きに行ったとき、

先生がデスエデュケイションをお話された時、

特に心に響いたと言うのでしょうか、

思わず涙が出てきました。


今は、私が演奏している場面をイメージ出来ます。

少し照れくさいですけど(笑)



今、色々と探しております。

ワインバーでほとんど弾かれることのない、

グランドピアノが置いてあるところに、

お客として様子を見に行ってみたり。


名刺も、友人や初めて会う人にも

渡すことが出来て、誇りに思いますね。


先生がご指摘下さるとおりに、

やはり少しずつ前に進んでいるのですよね。



ずっと前から、

いつかはピアノと向き合わなければならないな~と、

感じておりました。


確かに、逃げていたのです。

ピアノが好きだと再発見しましたし、

毎日弾ける、幸せです。



いつだったでしょうか、先生のブログで、

理想とする自分の生き方と、

現実の生き方のギャップがあると、

あらゆる悩みを引き起こす、

という事が書かれていたと思われますが、

(※自己の不一致のことだと思います。
 自己の不一致とは心の深~いところで感じていることと、
 いまの自分が現実にやっていることが一致しないことです。
 カール・ロジャーズはこれを、悩みや葛藤の源といいました。)



ピアノを毎日弾くようになってから、

そして仕事にしようと模索していく中で、

仕事以外の事でも、何でも好転してきたと感じています。

毎日ドキドキワクワクして、感動して生きています。


今の本業も、

経理から新規部署に異動になり、一ヶ月弱ですが、

私の意見やアイディアを取り入れて頂ける上司の方々で、

学ぶ事も多く、働きやすさを感じております。


先生には初めて言うと思うのですが、

一番初めに経理に配属になり、資格も取得した後、

実は、「もう努力しなくていいかな~」と感じていました。



簿記2級さえ取れれば、とりあえず就職できない、

ということは言われてないし大丈夫、

今の会社は福利厚生もバッチリだし・・・

と感じていたのだと思います。


でも、神様が、私に、天職に就かせようとしてくれて、

その後異動になったり、中越先生と出会えたり、

新しく就職活動しなくて済むように、

今の部署に配属されて、あくまでも天職に就きやすいように、

導いてくれたんだな、と感じているのです。


ですから、茶道をやり続けることも、

ピアノを仕事にしようと模索している事も、

今の本業に就いていることも、全て肯定できているのです。


でも、今度こそ、天職に就くことを忘れないように、

前に進んでいこうと思います。



===========================



さて、その後、

再びIさんからメールをいただきました。


これを書いているいま、

僕が最後に、

Iさんからもらったメールです。


電気屋さんのピアノが奏でる音が、

すこしずつではありますが、

人の心を動かし始めています。



===========================

実は、週末でお店が混んでいるときに、

電気屋さんでまたいつものようにピアノを弾こうとしましたら、

丁度ピアノの目の前が、長蛇の列になっていました。


よし、これはチャンスだ!と思い、

ピアノを弾いていました。

すると、何と、私の斜め後ろに一人、

立って私の演奏を聴いていたのです・・・!


立ち止まって私のピアノを聴いてくれる人は、

好奇心の強い子供以外、初めでした。


私の演奏のじゃまにならないように、

静かに聴いておられました。

すっごく嬉しかったです!!


今日も、違う電気屋さんで弾いていましたら、

また同じ現象が起きました!


ピアノを弾く事が、もっと好きになりました・・・。

やっぱり、演奏するしかないと思いました。


心を込めれば、届いてくれる人もいるのだなと分かりました。

頭で考えて弾くのではなく、

心を込めて弾くことが、大切だと感じました。


考えても見れば、先生が、

いつも心を込めて電話カウンセリングなど、

お仕事に取り組んでおられますしね。



人生が変わる。何だか鳥肌が立ってきました!

これからもっとスゴイことが起こりそうな予感がします!!


先生、今回のメールも、前回のメールも、

ブログなどで紹介して頂いても大丈夫ですよ。

本当に楽しみです。


正直申し上げますと、

最初は、一日5分の芸術をすることで、

天職が見つかるとは、思っても見ませんでした。


でも、とにかくやってみよう、と思って、

続けていく内に、そうですね。

どんどん、広がって行きました。



じゃあ、また先生のカウンセリングを受けたくなりましたら、

宜しく御願いします!


では、先生、どうかお元気でいらして下さい。

これからも、もちろん応援しています。

ありがとうございました!!



===========================


カウンセリングが始まってから、

半年とすこし。



最終的には、

カウンセラーの僕が、

応援してもらってます(笑)。



いただいたメールの中で、

僕が特に深い言葉だなと思ったのは、


「自分がピアノと向き合うことから、

 逃げていた。」


「資格さえ取れば、

 もう努力しないでいいと感じていた。」


この二つの言葉です。



これはやはり、

やりたいことを見つけた今、

過去の自分を振り返っていえる言葉、

逃げずに向き合ったからこそいえる言葉。


そんな言葉だと僕は思います。



このカウンセリング事例は、

読んでわかるように、

僕がほとんど介入していません。


一回目のカウンセリングのときに、

「一日に1回、5分でいいから、

 何か芸術に関することをする。」、

と宿題を出したくらい。


それも僕だけではなく、

Iさんと一緒に考えたのです。




たった一日5分芸術をする。

たった一日5分ピアノを楽しむ。



たったそれだけのことでも、

電気屋さんのピアノから、

買い物にきた一般客が、

足を止めるほどの音を奏でます。



好きなことをやり続ける力。

人の評価を気にしないで、

自分が楽しみ続けることの力。


僕自身、そんな人間の潜在能力を、

改めて学ばせていただきました。



Iさんのピアノが、

電気屋さん以外で聴こえる日も、

そう遠い日ではないと僕は思います。



Iさん、事例紹介へのご協力、

ほんとうにありがとうございました。

僕も応援しています。




【今回のポイント】
★一日にほんのちょっと楽しい時間を持つ!

★昔、あきらめたこと、何かありませんか?


≫ 事例5「絵描きの転機」

≪ 事例3「木を植える男」

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