実は天職探しの心理学は歴史が長い

実は天職探しの心理学は歴史が長い

生涯の仕事を見つけたいという心理学の研究


こんにちは。

カウンセラーの中越です。



「最近の若い人は、好きなことを仕事にしたいという。

 それが若者の価値観のトレンドだ」。


そういう言葉をメディアで耳にします。



でも、実はこれって大きな勘違い。


心理学ではかなり昔から、やりたいことを見つける悩みが、研究されています。


この研究を知ることは、天職を見つけるヒントになるはず。



というわけで今回は、

「実は天職探しの心理学は歴史が長い」

スタートします!!




天職・やりたいことを見つけたいのは流行ではない


「本当に好きなことを仕事にしたい」。

「天職・やりたいことを仕事にしたい」。


最近、そういう考えが流行っていると、メディアでいわれます。


でも、僕はそれに反論したい!!


「自分の本当にやりたいことは、なんなのだろう…?」


実はこの悩みは心理学的に、ずいぶん昔から研究されているのです。

決して、単なる流行などではありません。


というのも、みなさんも一度は聞いたことがある「アイデンティティ」という言葉。


これは「自分はいったい何者で、どんなことを生涯の仕事とすべきだろうか…」と悩んでるときに使われる言葉です。


そしてこれを研究したのが、エリクソンという心理学者です。




エリクソンもアイデンティティで悩んでいた



ここで面白いのがエリクソン自身の人生です。


エリクソンのお父さんはユダヤ系、お母さんはデンマーク系。

いわゆる、ハーフだったんですね。


しかも幼少のときにお母さんが、ドイツ人小児科医と再婚します。

なのでユダヤ人としてドイツで生活することに。


非常に複雑な生い立ちと家系ですね。


ユダヤ人社会では北欧系の容姿から差別を受け、ドイツ人社会ではユダヤ人ということで差別を受けます。


母の再婚で家庭にも居場所がなく、人種のことで社会にも居場所がなかった…。

う~ん、書いてるこちらがへこんじゃうくらい、辛い人生です。


そして、なんとエリクソンは大きくなると、画家を目指して放浪の旅に出たのだとか。

ところがこれも、なかなか上手くいきませんでした。

いや~、さらに辛い…。



そんなときにフロイトの娘さんであるアンナ・フロイトと出会い、弟子入り。

精神分析家になってしまいます。


そんなエリクソンが作ったのが、人間の発達を8つの段階に分けた発達心理学。


当時の心理学では考えられていなかった、大人になってからの発達に着目した発達心理学です。


その中でも特に有名なのが、「アイデンティティ」という言葉。


「自分はいったい何者で、この先、どんな仕事をして生きていくのか…」。


人間は青年期に、そうやって悩む時期が必ずある。

そして、そこで苦悩し、ちゃんと自分なりの答えを見つけた人が、「この仕事、活動に注力して生きていこう!」と、熱意を持って生きることができる。


そして、その答えがどうしてもが見つからないとき、モラトリアムという社会参加への猶予期間が与えられる。


そういう考え方を生み出したのです。


このモラトリアムの時期に、しっかり悩んで苦悩することで、自分の本当にやりたいことを見つけられるのでしょうね。


複雑な家庭環境、人種間の葛藤で育ち、画家から精神分析家になったエリクソンだからこそ、こういう理論を作れたのでしょう。


そう思うと、アイデンティティというたった一つの言葉の中に、一人の人間の歴史が詰まっているのですね。



さて、そのエリクソンは、1902年に生まれ、1994年に亡くなっています。


そうなると、僕たち人間はすごく昔から「やりたいことがわからない」という悩みがあったことになります。




「自分の好きなことを仕事にしたい」

「本当にやりたいことを見つけたい」

「自分にとっての天職を見つけたい」


こういう気持が、いまの若者の流行というのは、どう考えてもおかしいですよね。


人間はずーっと昔から、こういう問題で悩んできたのです。




社会環境が整えば人間は天職を見つけたいと思う




ただ、2000年頃までの日本では、それが許されない社会でした。


「学校を卒業したら、すぐにどこかの会社に就職せねばならない。

 一度入社したら、一生そこで働くのが当たり前。


 転職なんて、ただの逃げ。

 入社3年以内の転職なんて、社会不適合者のやること」



いまの若い人からしたら、どう考えてもおかしな考え方です。

でも、当時はそれが当たり前で、みんなそれを信じていました。



あきらかにヤバい会社でも、一度入ったら辞めてはいけない。

あきらかに自分に合わない仕事も、辞めることは許されない。



会社を辞めるやつは逃げ、社会不適合者という烙印を押されます。

「そりゃ、うつ病も過労死も増えるわ」。そんな世の中だったのです。



たしかに、そういう世の中では、天職・やりたいことを見つけたいと思っても、それを真剣に考え実行に移していくことは、いまよりはるかに困難だったはず。



だから、


「自分の好きなことを仕事にしたい」

「本当にやりたいことを見つけたい」

「自分にとっての天職を見つけたい」


こころの中でそう思っていたとしても、それを口に出すことすらできなかったのでしょう。


実際、僕自身も昔はそのことで、ずいぶんと冷たい目で見られました。



※(それより昔の日本は、戦前戦後。

生まれたときから、自分の仕事が決まっている時代。

自分の仕事を選ぶ自由さえありませんでした。

ちなみにこれについては、マーシャという心理学者の早期完了という言葉で、説明することができます)




転職を繰り返すのもアイデンティティとの格闘



若者が仕事を辞めることについて、批判的にいう人がいます。

でも僕は、かつてのおかしな時代が終わり、若者に仕事を辞める自由があることは、良いことだと思っています。


もちろん、安易な気持で転職を繰り返すのはよくありません。

どんな仕事をするにせよ、多少の忍耐だと必要かと思います。


ただ、実際に働いている人のカウンセリングを15年もやって思うのは、安易な気持で転職をする人など、本当の本当にきわめて珍しいごく一部の例外であるということ。


ほとんどの人は、仕事を辞めるかどうか悩み苦しみ抜いた上で、やめるという決断をしています。


そして、若い人が仕事をいろいろと変えるのは、いろいろなことを経験して自分のアイデンティティを獲得するために、人生と格闘しているのだと思います。


そもそも大人たちは、「失敗を恐れず、いろんなことにチャレンジしろ!!」なんてよくいいます。


にもかかわらず、

「就職してがんばってみたけれども、どうしても自分に合わなかった…。

 ここは気持ちを切り替えて、別の仕事にチャレンジしてみよう!」


そういう考え方を否定するのは、まったくもっておかしな話です。




いつまでに天職を見つければいいのか




ただ、ここで悩むのが、「青年期っていつまでなの?」という問題。

というんほもエリクソンは、アイデンティティを獲得するのは、青年期だと考えたのです。


実はここもとても面白くて、実は「青年期はどんどん延びている」と考えられています。


人生100年といわれる時代になり、晩婚化、高齢出産が普通になってきている今の時代。

社会はどんどん複雑になり、変化のスピードも速くなっています。


なによりも、何歳になったら結婚して、何歳になったら子供を産み、何歳までに生涯の仕事を決める。



もうそれは個人個人が決めることで、あまりにも千差万別。

そういう人生のモデルケースは崩壊しつつあります。

いわゆる「人生のお手本」というのが、存在しない時代です。



こういう時代では、仕事にしろ結婚にしろ、人生の選択肢を決める難易度が、大幅にアップしています。


なにしろ、「みんなこうやってるんだから、それにあわせとけば大丈夫でしょ」とは、いかなくなっちゃったのですから。



そのなかで、「自分の生涯の仕事はこれだ!」と決めることに時間がかかるのは、当然のことだと思います。


僕個人の考えとしては、20~30代にいろんな仕事を経験して、30代半ばから40代くらいで生涯の仕事を決める人が多い。


いや、50代、60代になって、「第二の人生、自分のやりたいことってなんだろう…」と悩む人もたくさんいます。



それを考えると、「天職・やりたいことを見つけたいという悩みに、年齢なんて関係なくなってきている」。


なにしろ、あらゆる世代の人が、このことで悩んでいるのですから。




いろんな仕事を経験して、いろんなことを学ぶことが大事




そもそも、高校卒業、大学卒業時に、生涯の仕事を決めるなんてのは、あまりに無茶なこと。


社会にどんな仕事があるかもわかってないし、自分がどんな人間なのかもわかってません。


そういう状況で選んだ仕事に対して、「やってみたら思っていたのと違っていた」となるのは、ある意味、当然のことだと思います。


だから、いろんな仕事を経験してみることが、とても大事なことだと思います。

キレイ事ばかりの求人情報には載っていない生の情報は、体験しなければわかりません。

僕自身は、派遣でもいいと思っていろんな仕事をしたことで、ずいぶんといろんな会社や仕事を見ることができて、今となっては良かったと思っています。


僕は若いころ、職を転々とした時期があって、そのことがコンプレックスですごく辛かったです。


当時は、履歴書に傷がつくことばかりを、気にしていました。


でも、今となって思えば、


「こういう業界の人は、こういう人が多いんだ~」

「座りっぱなしの仕事は、自分に合わないよな~」

「ある程度、自分で決められる仕事がいいよな~」

「嫌いなことに一日の大半を使う人生は嫌だな…」

「どうせなら好きでやりがいある仕事がいいな…」

「多少収入が低くても自分は平気なタイプかも…」



こういうことがわかったのは、いろんな仕事を経験したからです。

そういう経験がなければ、天職・やりたいことは見つからなかったと思います。



また心理学やそれ以外に、自分からいろんなところに勉強をしに行ったことも、とても大きかったです。


だからこそ、「やっぱり自分は心理学が好きなんだな~」と、確認することができました。


逆に、「自分は独立して働いてはいるけれども、経営者になりたいわけじゃなくて、カウンセラーでいたいんだな」と気づけたりもしました。


いわゆる経営者の集まりに行ったときに、「どうも自分は肌が合わないな~」と、感じたのです。


もっとも、そこまで気づくことができたのは、実は30代後半になってから。


心理職であり、天職・やりたいことを見つけることを専門にしている僕でさえ、アイデンティティを獲得したのは30代後半です。


一般の人がもっと遅くても、何もおかしくないのでしょう。



成功と失敗の両方があって天職を見つけられる



僕自身、いろいろなことを経験して、たくさんの失敗を繰り返しながら、アイデンティティを獲得しました。


「人生なんて、いつどうなるかわからない。

 でも、一生、心理やカウンセリングに関わって生きていきたいな~」


そう思うことができるようになったのは、いろいろなことを経験して、失敗を繰り返した中から見えてきたことです。


なにかを経験しなければ、「自分がどんな人間でどんなことが好きなのか?」なんて、わかるはずがありません。


そして、なにかを経験するということは、そこには成功することも失敗することも、その両方を必ず体験します。


その成功体験から、「自分はこういうことが好きなんだ」、「こういうことが向いているんだ」と見えてきます。


その失敗体験から、「自分はこういうことは嫌いなんだ」、「こういうことは向いてないんだ」と見えてきます。


つまり僕たち人間は、成功も失敗もその両方を体験しながら、自分のアイデンティティを獲得していくのです。



そこまで考えると、天職・やりたいことを見つけるには、成功も失敗も含めて、いろんな事にチャレンジすることが大事。


失敗したっていいんです。

それは後々、必ずいい経験と思えるようになります。


だから、ひとかけらの勇気を出して、ちょっとだけ興味があることに、ほんの少しだけ行動してみてください。


そうやって行動する人が、天職を見つけられるんですよ。


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今回のやりたいことの見つけ方ポイント

★人間は昔から天職探しで悩んでた!

★成功も失敗もどちらの経験も大事!

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