カウンセリングとは

カウンセリングとは



カウンセラーが感じたことを伝えることもある



そこでもし、カウンセラーの中に、何か相手の成長を促進するような何かが思い浮かぶことがあります。

カウンセラーはその感覚を丁寧に感じ、相手が受け取りやすい言葉を選び、それを本当に相手に伝えるべきか熟慮に熟慮を重ね、思い切って相手に伝えることもあります。


ここはカウンセラーによって意見が分かれるところです。

鏡に徹するべきという人もいれば、僕のように促進的な何かが自分の中に湧いてきたのであれば、それを伝えることが大事という人もいます。


僕自身は、自分自身がカウンセリングを受けたときに、

「今日の自分の話を聴いて、カウンセラーさんはどう思ったのだろう?」

そんなことが、やはり気になることがあります。


そこで今日のカウンセリングで、相談者さんの話をカウンセラーがどのように感じたのかを伝えることは、とても有効だと思っています。

そこでカウンセラーがカウンセラー自身の生命的叡智に触れながら、丁寧に言葉を選び相談者さんに伝えることが大事だと思っています。


カウンセラーから返事がなく、ただただ相談者さんの独白になってしまっては、対話にはなりません。

カウンセラーが感じたことを、相談者さんにとって促進的に伝えることにより、対話が生まれます。

そして、そのときのカウンセラーの言葉により安心感を得て、相談者さんがより自己一致して生命的叡智に近づいていけることで、より対話が深まっていきます。



ただ、そのときに、相談者さんを誘導することがないように、

「カウンセラーは相談者さんを誘導するようなことがあってはいけないので、これはあくまで僕の個人的な意見になります。

なので、聞き流す程度に聞いて欲しいのですが、今日のお話を聞かせていただいて感じたのは、いきなり夫婦で話し合うのではなく、まずは少し距離を取りたいと思っておられるように少し感じたのです。

その辺はご自身ではどのように感じますでしょうか?」


または、

「これはあくまで僕個人の考えなので、違うかったら遠慮なく違うとおっしゃっていただいた方が、より正確にお話を理解できるので、本当に違うかったら違うとおっしゃってくださいね。

部下を怒鳴りつけたり、攻撃的な自分になってしまうくらいなら、出世なんてしない方がよかったと思ってらっしゃるのかなと感じたのですが、その辺はご自身でどう感じますでしょうか?」

そんなふうに語りかけるようにしています。



こういう確認作業やカウンセラーが感じていることをときには素直に伝えてみることにより、最初はただの会話としてはじまったのが、だんだんと深まり、対話になっていきます。

相談者さんは世間一般の価値観を脱ぎ捨て、とことんまで自分の感覚に正直になります。

そして、ときにはカウンセラーもカウンセラーという仮面を脱ぎ捨て、一人の人間として対話をします。


それが深まれば深まるほど、世間一般の価値観は剥ぎ取られ、生の人間と生の人間として、真の出会いが生まれます。


その体験を重ねていくうちに、世間一般の価値観よりも、生命的叡智である言葉にならない自分自身の感覚を信じて生きていけるようになります。


生きていく上で、何か悩みや迷いが生じたときに、世間一般の価値観や意識という理屈で考えたものよりも、もっと深いところにある生命そのものが持つ心のコンパスを頼りに生きていくことができます。

それは真の意味で自分が自分になるということであり、真の意味での自己実現です。まさに文字通り、自己を実現することになります。



自分の選択した人生に納得できるようになる


カウンセリングはこのようにして進んでいき、相談者さん自身の内在していた問題を乗り越える力を表面することにより、新しい人生の選択肢を選べるようになります。


そうやって選んだ生き方は、ほとんどの場合、どのような結果になっても、

「あのとき自分にできる最善の選択をした。だから、いまの人生をしっかりと生きていこう」

そう思えるようになります。


人間は、生きていれば必ずつらい出来事があります。

それは、いくら心理学を学ぼうと、変わることはありません。

でも、自分の生命的叡智、心の声に耳を傾けて生きていけるようになれば、つらい出来事はあったとしても、納得して生きていけます。


不安や迷い、苦悩をゼロにすることはできませんが、自分自身で人生を選び、その結果を受け入れることができるようになります。

そして、自分の人生に納得できるようになります。

そのことにより、心の葛藤が減り、より楽に充実して生きていくことができます。



カウンセリングとはこのように、相談者さんとカウンセラーが、対話を通していまだ言葉にされたことのない感覚を言葉にし、生の人間と生の人間として真の出会いを果たし、自分の生命的叡智を頼りにして生きていけるようになることです。


なので、カウンセリングとはなにか?」という問いへの僕自身の答えは、

「安心できる人間関係による対話と出会いにより、自分自身の生命的叡智を活用できるようになること」

となります。



ただ、ここで一つ問題があります。

もし僕が、次に友達の新年会に呼ばれたとき、

「カウンセリングってのはな、真の対話と出会いにより、自分自身の生命的叡智を活用できるようになることやで」

と答えても、場をしらけさせ、来年の新年会には呼ばれなくなる可能性が高いことです。


やっぱり、お酒の場でカウンセリングとは何かなんて真剣にい話さずに、ごまかすくらいがちょうどいいのでしょう。