こんにちは。
カウンセラーの中越です。
さて、なんと今回も、
カウンセリング事例を紹介します。
この事例も非常に面白い事例です。
今回は50代前半のE・Yさんです。
きっとやりたいことがわからない人に、
大きなヒントを与えると思います。
ぜひ続きを読んでください。
例によって事例の紹介には、
ご本人の了承をいただいております。
個人が特定できないように、
多少、手を加えている部分もありますが、
基本的には事例そのまま紹介しています。
□E・Yさんの事例 『絵描きの転機』
精密機器大手メーカーに勤務する、
50代前半のE・Yさんの事例です。
カウンセリングがはじまると、
わりとゆっくりと落ち着いた雰囲気で、
お話しをされ始めました。
「え~と、なにから話したらいいんですかね。
あの…、私は○○で事務をしてるんです。
今の仕事は30年近く続けてるんですけど、
最初っから嫌だったんです。」
「ほう、最初っから嫌だったんですかね?」
「ええ、最初から嫌でした。」
最初から嫌だと思った仕事を、
30年も続けられるのもすごいと思って、
念のためちょっと確認してみました。
やさしい雰囲気で、
ゆったりと話をされる方ですが、
「ええ、最初から嫌でした。」と、
はっきりとおっしゃいました。
Eさんは話を続けます。
「今の会社は人間関係が大事というか…。
こう根回しみたいなのが必要なんで、
そういうのがこう、すごく嫌で…。
職場で一緒にお昼を食べるのも嫌で、
私は一人で食べたりするんです。
仕事そのものも面白いとか、
やってて良かったって思ったことが、
一度もないんです。」
これを文章にして書いてしまうと、
非常に悲痛に感じてしまいます。
でも、実際を話を伺っている感じは、
つらいのは間違いないでしょうが、
悲痛というわけではありませんでした。
むしろ事実をありのまま述べている。
そういう話し方でした。
一般的な常識では、
「そんな大きな会社辞めるなんてもったいない。
もっと職場のみんなと仲良くすれば?
仲良くなれば仕事も楽しくなるかもよ。」、
なんてことを言うのかもしれません。
でもカウンセリングではそうしません。
あくまでの本人の気持ち、
本人の意見を一番に尊重します。
本人が今の仕事は嫌だというのなら、
カウンセラーはそれを受け入れます。
そうでなければ、
「この人なら何を話しても大丈夫」と思って、
本音で話をしてくれません。
クライエントが、
「今の仕事が好きじゃない」というのであれば、
カウンセラーはありのままそれを受け入れます。
Eさんは話を続けます。
「それでこう、
やりたいことを仕事にしたいというか、
好きなことを仕事にできたらいいなって、
思うんですけどね…。
でも、あの、最近良くテレビで、
ワーキングプワとか格差社会とかいうじゃないですか。
そういうの見てると嫌だな~、怖いな~って、
やっぱりすごく不安になるんです。」
「ああ、なるほど。
好きなことを仕事にできればと思うけど、
ワーキングプアとか格差社会とか見てると、
やっぱりこう、不安になってしまうんですね。」
「ええ、そうなんですよ~。
どうしたらいいんですかね?」
こんな感じで話が進んだところで、
やりたいこと探しに入っていきます。
まずはEさんが、
好きなことや興味のあることを、
教えてもらうことにしました。
「どんなことをお話いただいても、
僕は決してバカにしたり否定したりしませんから、
もし良かったら興味のあることや好きなこと、
僕にも教えていただいていいですか?」
「好きなことというか、
なんとなくやりたいことはあるんですけどね、
本当にこれがやりたいことなのかな~って、
そう思うんですよ。」
「おお、なんとなくやりたいことがある。
え~と、どんなことですかね?」
「私はずっと絵を描いているんですけど、
まあ何らかの形で、
絵で食べていけたらと思うんですけど、
う~ん、それでいいのかな~って。
画家でなかったとしても、
絵の教室で教えたりとかもあるし。
でもこう、自分は教えるのは、
ちょっと違うかな~って思ったり…。
本当に絵が好きだって思えるんだったら、
不安があっても、
それに向かっていけると思うんですけどね。
そんな風に不安に思うのなら、
本当は絵を好きじゃないのかなって思ったり。
う~ん、そういうことを考えると、
定年まで今の会社にいたほうがいいのかなって、
そう思ったりもするんですよ。
………でもこう、会社に行くことを考えると、
すごく嫌な気分になるというか…。
あの…、一緒に絵を習ってた人からも、
「絵で食べていったらって」、
言われたことがあるんです。
そういってもらえるとうれしいし、
そうできたらいいな~とは思うんですけども…。
今の会社で希望退職を募集していて、
それの期限までに決めたいなって思うんですけど…。
友人は絵で食べていきたいというと、
「なにバカなこと言ってんの!」って、
まあ、そういわれるんですね。
まあ、こう、わたしもやっぱり、
ネットカフェ難民とかワーキングプアとか見てると、
やっぱり…、こう、すごく不安になるんですよ。
そう思うと、
どこまで自分が絵が好きなのかな~って…。
なんていうかこう、
堂々巡りになってしまうんですよね。」
この気持ち、
僕はとてもよくわかります。
いや僕だけでなく、
やってみたいことはあるけども、
なかなか一歩踏み出せない。
本当に好きかどうか?
本当の本当にやりたいことか?
リスクを背負ってでもやりたいのか?
そんなことを考え始めると、
どうしても考えが堂々巡りになります。
このままずっと話を聴き続けても、
一緒に堂々巡りになってしまうだけなので、
(それも大切なプロセスでもあるのですが、)
ここではちょっとやり方を変えてみます。
こういうときは好きなことについて、
いろいろとお話してもらうことにします。
そのほうが相談者の気分も明るくなるし、
好きなことの話を誰かにじっくりと聞いてもらうと、
好きだということに自信を持てることもあります。
たとえば、友人に絵で食べていきたいといって、
「何バカなこと言ってんの!」と言われると、
誰だって落ち込んでしまうことでしょう。
そうやって落ち込んでしまうと、
絵で食べていきたい気持ちも大きく薄れる。
そうすると本当に好きかどうかわからなくなる。
でも逆に、自分の好きなことについて、
誰かが本当に興味を持って聴いてくれたなら、
話しているだけで楽しくなってきます。
話をするだけで楽しくなったなら、
好きだという気持ちにも少し自信が持てます。
またそういう話しは面白いものも多く、
僕もひそかに楽しんでいたりします。
そこで今回も絵について、
いろいろ教えてもらおうと思ったのですが、
ここで意外なことがわかりました。
絵について教えてもらおう話の流れで、
どれくらい絵を描き続けているのかについて、
話が及んだことがありました。
それを聞いて僕はびっくりしました。
「Eさんは絵を描き始めて、
いまでどれくらいになるんですかね?」
「そうですね~。
絵を描き始めるようになってからは、
だいたい25年くらいになりますね。」
「え!? 25年も描いてるんですか?」
「ええ、そうなんですよ。
今の会社に入って初めのころなんですけどね。
仕事が嫌ですごくストレスを感じていて…。
本当にいろんな習い事とかを、
いっぱいやってみたんです。
どれもそんなに続かなかったんですけど、
その中で絵だけはずっと続いたんですよ。」
「おお、絵だけはずっと続いたんですね。」
「そうなんですよ。
絵はこう、自分に合ってたというか、
すごく集中して没頭できる感じがあるんですね。
まあ、それがこう、すごく気持ちよかったというか。」
「うん、すごく集中して没頭できる。
そしてそれが気持ちいいって感じるんですね。」
「そうなんですよね。う~ん。
やっぱり絵が好きなのかな~って思うんですけど、
どうなんでしょうか?」
「まあ、25年好きなんだったら、
やっぱり好きなことなんじゃないかなって、
僕は感じましたけどね(笑)」
「ふふふ(笑)そうですね(笑)。
でもこう、それを仕事にするとかなると、
やっぱり不安になってしまうというか…。
それでいいのかなって思うんですよね。」
ここで一回目のカウンセリングは、
終わりの時間になってきていました。
絵が好きである。
そこはどうも間違いなさそうですが、
それを仕事にすることに対して、
本人自身は自信が持てない感じです。
そこでちょっとした宿題を出すことにします。
「Eさんはいま、
週にどれくらい絵を描いてるんですかね?」
「準備とかがあって休みの日しか描けないんで、
だいたい週に一回描いています。」
「じゃあ今日から一日に5分でいいので、
毎日、絵を描いてほしいんです。」
「え?毎日ですか?」
「はい、毎日です。
その代わりほんのちょっとでいいんです。
本格的に描かなくてもいいから、
チラシの裏にちょっと描くくらいでいいんです。
もし5分が厳しいのであれば、
1分か2分でも全然かまいませんよ。
一日に一回、絵を描いてほしいんです。」
「はあ、一日一回ですか。」
「はい、一日一回です。できそうですかね?
もしできそうでないのであれば、
またほかの宿題を一緒に考えたいんですが。」
「いや、う~ん。できると思います。」
「お、できそうですか?
じゃあ、ぜひやってみましょう。
宿題、ぜひ楽しんで描いてくださいね。」
「はい。楽しんでみます。」
ここでこのカウンセリングは終了です。
好きなことというのは、
なるべく毎日、それに触れる時間を持てば、
そしてその時間が楽しいものであるならば、
その気持ちは絶対に強くなっていきます。
(楽しい時間というのが大事です!)
さて、一日に5分絵を描いてみる。
毎日、絵を描くことを楽しんだEさん。
やはり非常に大きな変化が起きました。
Eさんにおきた非常に大きな変化とは??
え~、だいぶ長文になりましたので、
来週に続きます(^_^)
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今回のポイント
★楽しいことを宿題にすること!
★25年続いてもやっぱり不安!
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『いまの仕事で本当に幸せになれますか』
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■ 編集後記
こないだDVDを借りて、
「パッチギ」をみました。
めっちゃ面白かったです。
井筒監督の映画は始めてみましたが、
めっちゃ泣きました。
でも、なによりエリカ様が、
今とはほとんど別人でびっくりです。
う~ん、個人的には昔のほうが好きです。
だって、今のエリカ様、こわいもん。
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