やりたいことが見つからない理由はお金をもらうのが怖いから

こんにちは。

公認心理師の中越です。



僕が独立開業して長いカウンセラーだからか(副業を入れると19年、独立して16年目になります)、カウンセラーとして独立開業したいという相談もよくもらいます。

そういう人の相談を聴いていて、また僕自身のカウンセラー人生を振り返って思うこと。

これがカウンセラーだけではなく、やりたいことが見つからない人にも、とても重要なポイントになっています。


そのポイントとは、カウンセラーとして独立開業したい人の一番の壁は、「自分のカウンセリングでお金をもらうのが怖い」ということです。


実は僕自身もはじめてカウンセリングでお金をもらうとき、いや、正確には自分のカウンセリングに値段をつけるとき、すっごく怖かったのを覚えています。


ただ、これはカウンセラーだけでなく、独立開業をする人はどの職種でもみんな経験することでしょう。


たとえば、僕の母は料理が趣味ですごく得意です。

子供の僕がいうのもあれですが、ものによってはそこらのお店よりずっと美味しいです。

(そういう母の元で育ったので、僕が料理をしようとするとあれこれ文句をいわれるので、僕は料理が嫌いになってしまいました。

あと、手巻き寿司を作るのにハマっていた時期があって、あまりにもハマりすぎて握り寿司を作るようになったときは流石にあきれた。

へい、お待ちって感じで、マグロの握りが晩ごはんで出てくる。

そして自分の納得いくお寿司が握れるようになるまで、同じメニューが続くのも困りものでした)


母もそれなりに自分の料理に自信を持っているし、職場の人からも「中越さんが作った料理を食べたい」とよくいわれるそうです。

たまに自分でも「料理を仕事にしたかった」とか「お店を開いてみたかった」といいます。


でも、その料理を作って欲しいという職場の人が、「中越さん、お金出すから料理つくってきて」といわれると、「それは嫌!」となるのです。

お金をもらうプレッシャーというか、責任感というか、なんだかすごく重荷を感じるそうです。

そして、その気持ちはすごくわかる気がします。


「お金をもらうのだから、しっかりと最高の料理をしなくちゃ!!」。

どうしても人間って、そう思ってしまいます。


ニトリのCMじゃないですが、それが強くなりすぎて、「お金をもらうのだから、お値段以上のものにしなければ!」。

ついそう思ってしんどくなってしまうのです。


自分の作った商品が、「う~ん、この値段を出してこれじゃ、イマイチだな…」と思われたら、ものすごく傷ついてしまいます。

こういう気持ちが、過剰品質、過剰サービスにつながってしまいます。

そしてそれはすごくしんどいので、僕の母にとっては重荷になり、「お金をもらって料理を作るのは嫌」となります。


で、こういう気持ちはうちの母だけでなく、ほとんどの日本人が持っているのではないでしょうか?


やりたいことがわからない人の多くは、このお金をもらうプレッシャーを持っています。

「趣味で手芸をやっているけれど、仕事にするのはちょっと…」

「趣味でイラストを描いてるけれど、仕事にするのはちょっと…」

「趣味でケーキを作ってるけれど、仕事にするのはちょっと…」


そういう人の中には、腕前はプロ顔負け、プロ以上の人も結構います。


みなさんのまわりにも、

「それをお仕事にしたらいいのに!もったいない!」

そういいたくなってしまう人が、きっといると思います。


でも、もし自分の作った商品やサービスに、不満を持たれたらどうしよう…。

そんなお金をもらう重荷やプレッシャーを考えると、好きなことを楽しめなくなってしまうのではないか…。


そういう心理があるから、つい自分のやりたいことを考えたときに、せっかくの本当に一番好きなことを無意識のうちに候補から外してしまいます。

ほとんどの人はそうなってしまうし、その気持ちは僕もすごくよくわかります。


なにしろ僕自身、カウンセラーとして独立開業・起業するとき、「この値段でこのカウンセリングじゃ、イマイチだな?」と思われることが、ものすごく怖かったからです。

それがどれだけ自分の足を引っ張ったのか、どれだけやりたいことへ一歩踏み出す時間を長引かせたのか。

誰よりもよく知っています。



ところが、人間って不思議な生き物です。

自分が雇われの身であれば、商品の品質が多少あれだったとしても、あまり何も感じないのです。


たとえば僕は学生時代、関西の超マイナーなハンバーガーショップで働いていました。

で、そこの店長がすごくいい加減な人で、仕事中にパチンコに行ってしまうのです。


初めてのバイトの日、高校一年生の僕はハンバーガーとチーズバーガーの作り方を教えてもらいました。


「おお!いつも食べていたハンバーガーってこうやって作るのか」。

なんだかちょっと感動したのを覚えています。


でも、すごくマイナーなハンバーガーショップだった上に超絶に立地が悪かったので、夕方はあまりお客さんが来ません。

お客さんが来ないと注文がないので、ハンバーガーとチーズバーガー以外の作り方を教えてもらえません。


厨房は僕と店長の二人。

「どんなゲームするの?」とかどうでもいい世間話をして、店長は僕をリラックスさせてくれました。

そうやって時間をつぶしてもお客さんは来ません。

おじさんと男子高校生の退屈な時間が過ぎていきます。


そんな時間が30分ほど続くと、店長はとうとういってはいけない一言をいってしまいました。


「ちょっとパチンコいってくるから、あと頼むわ!すぐ戻ってくるから!」

「え!?あ、は、はい!!」


世間知らずの高校一年生の僕は、よくわからないままハイと返事をしてしまい、厨房にひとりぼっちになってしまいました。

まだハンバーガーとチーズバーガー以外、何も作れないのに!!!

こういうときに、ついハイといってしまうのは僕の悪いところです。


そして、物事は予想どおりに進みます。

そんなときに限って急にお客さんが来たのです!!


注文はテリヤキバーガーセットでした。

レジの女の子が僕に注文を伝えます。


ドリンクはレジで入れてくれる。

ポテトはよくわからないけれど、つくっておいてある奴をSサイズの袋に入れればいいんだろう。

さっき試食させてもらったから、なんとなくわかる。


でも、問題はメインのテリヤキバーガー。


どうしよう…!!

まったく作り方がわからない!!!

でも、厨房には僕しかいない!!!


ああ、そういえばハンバーガーとチーズバーガーの作り方を教えてもらったときに、マニュアルっぽいものがあった!

(正確にはメニューをラミネートして店長が手書きで書き込んだもの)

それを見ながら見よう見まねでテリヤキバーガーを作って、とにかくレジの女の子に渡しました。


てりやきソースをパティの両面に塗ってレタスをのせる。

あとはマヨネーズをスプーン一杯分。



「あ、あれで大丈夫やったんやろうか…?」

僕は厨房でビクビクしながら、お客さんの様子をのぞき込みます。

しばらく様子をうかがっていたのですが、どうやら問題なく食べ終わって普通に帰って行きました。


あのとき、すごくホッとしたのを覚えています。

僕の多少あれなテリヤキバーガーでも、ちゃんと時給をもらいました。



で、大事なのはここからです。

ハンバーガーショップで10年以上働いている店長が作ったテリヤキバーガーも、バイト初日の僕がマニュアルを見て作った多少あれなハンバーガーも、まったく同じ値段です。


ちなみに大学時代はお好み焼き屋でバイトしたのですが、10年お好み焼きを焼き続けているベテランのおばちゃんの作るお好み焼きも、バイト初日の僕が作るお好み焼きも同じ値段です。


そして、もらうお給料もそれほど違いはありません。

「僕は初心者だから、おばちゃんの5分の1のバイト代で十分です」とはなりません。


「ちゃんと働いたんだから、時給分のお給料はくださいよ!」と、平気で思えます。

というより、それが正しいのだと思います。



でも、いまになって考えても、僕と店長のハンバーガーならさすがに店長が作ったものの方が、ちゃんとお店の味を再現していました。

お好み焼きだってやっぱりベテランのおばちゃんが作った方が、ずっとおいしかったと思います。


つまり、僕は微妙な商品やサービスを生み出す存在だったわけです。

そして、この世の中の全員が僕と同じく、微妙なサービスを生み出す存在である時期を体験します。

誰だって最初は初心者なのですから、当然の話です。


ところが、それによってお金をもらうことを重荷に感じることなど、めったなことではありません。

微妙な商品やサービスを提供しても、それほど罪悪感を感じないのです。


もっというと、高級なしゃぶしゃぶ屋さんなんかもバイトはたくさんいるし、そのバイトたちは料理を作ったりお酒を作ったりします。


僕の友達に聞いた話だと、ペットボトルのウーロン茶をきれいなグラスに入れて出すだけで、そのしゃぶしゃぶ屋さんでは1杯1000円以上だったとか。

バイトがペットボトルのウーロン茶をグラスに注ぐだけで、1000円以上になるのです。

それでお客さんから1000円をもらっても、そのバイトは何もプレッシャーや重荷を感じることはありません。

「こんなウーロン茶に1000円も出すのだから、金持ちって酔狂なものだな~」

そんな程度にしか感じません。



なんだか上手く伝えられないのですが、

「人間がお金をもらうときの感覚って、思っている以上にいい加減」

なのです。



う~ん。

もっと直球でいうと、あまりにも耳が痛い言葉になりますが、


「人間は、自分が個人でお店を開いて商品やサービスを提供する場合、ものすごくプレッシャーや責任感を感じてしまう。

でも雇われて働いているときは、その商品やサービスの責任をほとんど感じない。

それは、その責任やプレッシャー上司や会社に背負ってもらっているからである」


そういうことができると思います。


商品やサービスの責任って、会社全体で分散されてしまえば、一人一人の社員はほとんど何も感じなくなってしまうんですよね。


「いや~、まあ、たしかにそんなにいい商品ではないけれど、僕は会社にいわれて売っただけだから…」

そう思うことができるから、重荷やプレッシャーを感じずに済みます。


僕のハンバーガーショップの例でいうと、

「いや、たしかに微妙なテリヤキバーガー作ったけれど、ちゃんと教えてくれない店長が悪いんだよ。

そんな店長をいつまでも雇っているこの会社自体に問題があるんじゃない?」

と思うことができます。



ところが、自分が個人でお店を開いて商品やサービスを提供する場合。

すべての責任は自分自身で背負うことになります。


それは本当に本当にプレッシャーを感じること。

僕はそのことに気づいてから、なぜこの世の中で社長の給料が一番高いのか、よくよく理解しました。

だって、なにかトラブルが生じたら、最終的に責任を取るのはトップですからね。



そして、自分の好きなこと、やりたいことを仕事にするとき。

独立開業や起業しか道の選択がないことも多いです。


僕のようなカウンセラーも、その一つです。

今は多少、改善されたようですが、当時は資格を取ってもボランティアすら経験者で定員オーバー。

未経験の人は思いきって自分で独立開業する以外、道がありませんでした。

(今でもそういう傾向はまだまだ残っていると思います)



そうなると冒頭に書いたように、


「もし自分の作った商品やサービスを不満に思われたらどうしよう…。

 お客さんにガッカリされたら、すごくショックを受けてしまう。

 だから、お値段以上の商品、サービスを提供しなきゃ!!」


と必要以上に自分を追い込んでしまいます。


お客さんは価格に見合った商品、サービスだと思っているのに、提供するこちら側が過剰品質、過剰サービスにこだわってしまうのです。


その背景にあるのは、「お客さんにガッカリされる責任をすべて一人で背負わなければいけない」というプレッシャーです。

そのプレッシャーが重荷になってしまい、どんどんやりたいことを仕事にする心のハードルが上がってしまうのです。



ある意味、それは人間としての誠実さがあるから、そういうプレッシャーや重荷を感じるのでしょう。


本当にいい加減な人は、そういうプレッシャーや重荷を感じることなく、平気で低品質なサービスを提供して高額な料金を請求します。

そしてそれを、「これがビジネスマンとして優秀なことなんだ」と、得意げに語ったりします。


それはそれで問題があるし、そういう人にはなりたくないなと僕自身は思います。

ほとんどの人は僕と同じように、そういう人になりたくないと思うでしょう。


自分で作った商品やサービスを提供するのだから、お客さんに思いっきり満足してもらいたい。

そう思うのはとても自然な人間の感情です。


ただ、それが行き過ぎて、

「過剰品質や過剰サービスができなければ、好きなこと・やりたいことでお金をもらってはいけない」

そうなってしまうとあまり健全な考え方とはいえません。



正直なところ、プロとして一歩踏み出して食べていけている人の中には、「実はそれほど腕は良くない人」も結構います。

でも、バイト初日の僕のテリヤキバーガーでお客さんが満足して帰ったように、好きなこと・やりたいことで独立開業・起業しても、自分のお客さんがそこそこ満足していれば、それでいいのです。


一般的に、70点くらいの仕事をすれば十分に合格点です。

みなさんもラーメン屋さんでラーメンを食べて、「この価格でこの味なら70点だな」と思えば、決して不満に感じることもないでしょう。

超満足して友達に教えたりはしないだろうけれど、別に不満に感じることもないのです。


そして、それでいいのです。

普通に合格点の仕事をすれば、それでお金をもらっていいのです。

だって、会社員として働いているときは、みんなそうしているのですから。


さらにいうと、70点くらいの仕事をしていれば、それで儲かるかどうかは、商品やサービスの品質というより、経営的なところが大きいのです。


70点のラーメン屋だけど、ずーっと潰れないでいる店。

ちゃんと思い出してみれば、みなさんのまわりにもかなりたくさんあるはずです。

そしてみなさんも、その店をちょくちょく利用して、なんの不満も抱かずに帰っているはずです。



「120点、150点の仕事をしなければプロとはいえない!」。

そう考えてしまうと、自分にも他人にも要求過剰になって息苦しくなってしまいます。


なによりも、自分の仕事人生にとって選択の幅をものすごく狭めてしまいます。

それはあまりにも残念なことです。



もっと正直にいうと、僕は副業の期間を入れると19年、カウンセラーとして完全に独立開業して16年になります。

そして、大手出版社さんからたくさん本を出版させていただきました。


それをいうと多くの人は、僕のことをすごく腕のいいカウンセラーだと思います。

でも、副業としての収入にしかなっていなかったり、ボランティアとしてカウンセラーをしている人の中には、きっと僕よりカウンセラーとして腕のいい人はたくさんいるはずです。


でも、カウンセラーとして独立開業して、食べていけているのは現実としては僕になるわけです。



劣悪な商品やサービスを提供して、高額な料金を請求するのは問題があるでしょう。

それではいくら儲かったとしても、いい仕事をしたとはいえないでしょう。


でも、好きなこと・やりたいことを仕事にするからといって、自分自身に過剰品質、過剰サービスを求めてしまうのも、同じくらい問題があるのです。


だって、それは僕たちの仕事人生にとって、選択の幅を極端に狭めてしまいますから。

そしてそのことは、僕たちの人生そのものの幸福度にも大きく影響を与えるからです。



好きなこと・やりたいことで食べていけるかどうか。

カウンセラーとして独立開業して、食べていけるかどうか。


その二つを分ける最大の分岐点は、商品やサービスの良さではありません。

もちろん、商品やサービスの品質も大事だけれど、それ以上に大事なことがあります。



それは、

「お金をもらう責任を引き受けるかどうか」

です。



それはものすごく怖いことなので、ほとんどの人はここで脱落してしまいます。

最初の一歩を踏み出すことなく、終わってしまうのです。



そしてその理由はとても残念なことに、

「自分自身に過剰品質・過剰サービスを求めてしまうから」

なんです。



超おいしいラーメン屋になる必要なんて、どこにもないのです。

70点のラーメン屋で、お客さんは十分に満足するのです。


120点、150点の仕事をしないからって、誰も僕たちを責めたりはしません。

それで責めてくる人がいれば、それは責める側の心に問題があるのでしょう。


もちろん最終的には、120点、150点の仕事ができるようになれば、それが一番いい。

でも、それは10年、20年とその仕事を続けていくうちに、達成すればいいのです。


最初は70点で十分なんです。

いや、最初はみんな70点からはじまるのです。

だって、誰もが最初は初心者なんですから。



自分の商品やサービスに対する過剰な要求をやめてみる。

それだけで、好きなこと・やりたいことを仕事にする怖さが、少しは和らぐはず。


最初は70点で十分。

だから、まずは最初の一歩を踏み出してみませんか?


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天職・やりたいことを見つけるポイント

★自分に過剰品質、過剰サービスを求めない!

★70点の仕事をすれば十分に合格のはず!

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■ 編集後記


ダイエット企画 36週目


スタート70キロ。

で、今日の朝、64,5キロ!


う~ん、リバウンドを取り戻すのは大変。

なんとかあと2キロやせたいですね。

とにかく冷や奴ばっかり食べることにします。





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