□『「仕事の面白さ」の天職心理学』

「仕事に面白みを感じないんです…」

「この世の中に面白い仕事があるなんて信じられません」

こういう相談よく受けます。

仕事に面白さを感じることができないのであれば確かに仕事っていうのは辛いものでも当然かもしれません。

そんなつらいものを長く続けるというのはやっぱり難しいことかもしれません。

でも一方で仕事を面白いと思っている人もたくさんいるというのも事実です。

『仕事を面白いと思う人』と『面白くないと思う人』。

いったいどこが違うのでしょうか?

ということで今回は『「仕事の面白さ」の天職心理学』です。

 


■マクドナルドのバイトはすごいんです!

僕が学生のとき、授業が終わった後によく学校の近くのマクドナルドに行っていたんですよ。

で、そのマクドナルドにですね、すごいアルバイトの女の子がいたんです。

小柄でやさしそうな顔をしていてやわらかい雰囲気の子でした。

ところがそういう雰囲気とは裏腹にかなりの働き者。

その彼女がいるマクドナルドは大学や大きな駅が近くにあるのですごく混むことで有名でした。

僕が行くのも混んでいる時間になることが多くてその彼女を見るのも混んでいるときが多かったのですがそういう忙しいときの彼女の働きは今でも忘れません。

あの働き、どう表現したらいいのでしょう。

なんというか5秒先の未来が見えているとでもいうのでしょうか。

忙しいマクドナルドの店員さんなのでものすごく高速に動く、てきぱきと動くというところまではまあそんなに珍しくありません。

実際、彼女もものすごく高速にそして最も効率がいいと感じる動きをしていました。
でも彼女のすごいのはそれだけじゃないんです。

彼女のレジ以外でトラブルが起きたとき、たとえばおつりがなくなったりコーヒーシロップが入れたりしたとき。

まるでそれがおきるのを知っていたかのようにすぐに彼女がそこに現れて必要なものを持ってきたりするんです。

それが一度や二度でなくほぼ毎日彼女は少し先の時間が見えているかのように動いていました。

たぶん本当の意味でその店全体のことがよく見えていたのでしょう。

自分の後輩などほかのスタッフの力量、どのレジが一番回転しているのか、どのレジにどのくらいの量の準備物があったのか。

いろんなことがすべて頭の中に入っていて計算されつくしていていたのでしょう。

ある意味彼女にとってトラブルが起きるということもある程度予想できていたこと、予定調和だったのかもしれません。

あれだけ高速で体を動かしておきながら頭の中でも非常に高度な仕事をしていたのだと考えるとこれは本当にすごいことだと思います。

おそらくすごい集中力で体中に神経がいきわたり頭も常に冴えた状態にあったはずです。

でも、誰でも一度ぐらいはこういう感覚、すごく集中して体中に神経がいきわたり頭が冴えきった状態を仕事だけでなく趣味や学生のときのクラブ活動なんかで経験があると思います。

チクセントミハイという心理学者はこういう何かに熱中して没頭していることをフロー経験といいました。

ピアニストが没頭してピアノを弾いている瞬間、アスリートが自分の力を出し切ったと感じるような瞬間、そういう瞬間にフロー体験というのがおきているのだそうです。

フロー体験、それはたとえ短い時間であってもとてもとても充実した時間なんだそうです。

そのマクドナルドのアルバイトの彼女は当時の僕より明らかに年上。学生という感じではありませんでした。

といって制服からして正社員というわけでもない。多分、フリーターだったのでしょう。

勝手な想像ですが、多分、彼女自身も仕事や人生についていろんな悩みがあったのではないでしょうか。

『このままフリーターでいいのか?』

『マクドナルドのバイトをやめて正社員の仕事を探すべきか?』

『自分は何の仕事をするべきなのか?』

そんな悩みもあったのかもしれません。

でもたとえ彼女がいろんなことで悩んでいたとしてもその瞬間の彼女の仕事は彼女にとって意味のあるものだったと僕は思うのです。

マクドナルドの彼女に一度きいてみたいことがあります。

彼女が5秒先の未来が見えているように動いているその瞬間、フロー体験をしているその瞬間に『あなたの仕事には意味はありますか?』と。

そのとき彼女がなんと答えるのか、

『このバイトに意味があるのかどうかわからないけども少なくとも働いている間は意味があるかどうかなんてどうでもいいぐらいとても充実しています』

とたとえ彼女が悩んでいたのだとしてもきっと答えるのではないでしょうか。

そしてたとえこのアルバイトをやめたとしても彼女の人生にとって何か意味のある経験になっていると思います。

これはやはりバイトとはいえひとつの仕事をとことんまで追及したからのことだと思います。

バイトとはいえなかなかこの境地までたどり着くことは簡単ではないはずです。

どんなものでも面白みを感じることができるようになるまではかなりの熟練を必要とするものなのだと思います。

音楽やスポーツや個人的な趣味の世界だってマニアの人にしかわからない、そういう境地に本当の面白さってあるのだと思います。

自分自身の趣味、それを思い出してもらったらわかると思います。

本当の面白さというのはなにかを追及した先にあるものなのです。

彼女がここまで到達したのはやはりほかのバイトの人たちよりも努力、もっといい仕事をしようと意識的な働き方をしたのでしょう。

そしてその努力が実って彼女の技術がある地点を越えた瞬間、フロー体験を感じることができたのではないでしょうか。

そしてフロー体験をした瞬間に彼女の仕事が彼女にとって意味のあるものに、彼女にとって仕事が面白いと感じることができるようになったのではないでしょうか。

月並みな表現かもしれませんが努力を積み重ねた先にある境地。

そこに到達してこそ初めて仕事の面白さというものを感じることができるのです。

社会人である僕たちの仕事でも高い集中力で没頭して仕事をするということはあります。

営業であっても事務であっても高い集中力を持って仕事をしている人、仕事の中でフロー体験をしている人は少数かもしれませんがやっぱりいます。

でも、僕たちが社会に出て働く場合、バイトほど単純なものではないかもしれません。

それはアルバイトを馬鹿にしてるとか仕事に優劣があるというわけではなく、社会人として働くということが非常に複雑になってしまってフロー体験、充実感を感じるのが難しくなってしまっているのと思います。

もっといい仕事ができるように努力したりしようとしても古い習慣や人間関係のしがらみ、会社の体制などなかなか難しいところはあると思います。

それはきっと大きな会社でも小さな会社でも変わりのないことなのでしょう。

30歳から仕事が面白くなるなんてよく言いますがそれって入社して8年は我慢しろってこと。

これはやっぱりなかなか辛いことかもしれません。

年功序列の会社やなかなか自分の思いどうりに仕事が出来ない会社では仕事の技術を磨いて仕事を面白いと思う境地に行くまでにものすごく時間がかかってしまう。

これはやはり、会社のほうにも問題があるといわざるを得ません。

自分の働いている会社がそういう会社である場合、会社を辞めるというのもひとつの選択肢だと思います。

実際そういう理由で会社を辞める人もたくさんいますし、辞めてよかったと思う人もたくさんいます。

もっといい仕事がしたい、本当にそういう理由で辞めるのならそれはけっして悪いことではないと思います。

でも会社が悪いと思っているのになかなか会社を辞める決断ができない人、もしくは会社が悪いと思って辞めたのにこころの中にずっと前の会社での出来事が引っかかってしまう人。

そういう人はゆっくりと考えたほうがいいかもしれません。

そういう人はこころの中のどこかで『次の会社にいっても同じことがおきるのではないだろうか』という不安があるのではないでしょうか?

そしてその不安の裏には『あの時あれをやっていれば少しは違っていたかもしれない』という思いがあるのではないでしょうか?

「あの時、上司に自分の意見をぶつけてみればよかった…」

「あの時あきらめずにもう少しだけ努力しておけばよかった…」

「無駄だとわかってても全力でやってみればよかった…」

こういう自分のこころの中にあるやり残したことがあるという思い、のゲシュタルト心理学で『未完の行為』っていいます。

こういう未完の行為があるとなかなか次のステージに進むことが出来ません。

だから会社を辞めたいのになかなか辞めれなかったり、辞めた会社のことをいつまでも引きずってしまったりします。

そういう場合、自分がやり残したと思っていることを違う会社でも違う場面でもいいのでもう一度やり直す、こんどこそたとえ失敗したとしても全力でぶつかってみるということが必要です。

なにより『自分が何をやり残したと思っているのか?』『何が自分のこころの中に引っかかっているのか?』ということを自覚するということが大事です。

それさえわかればこんどこそフロー体験を感じることができるように全力で努力をしてみればいいだけです。

努力して努力して努力して、その先になにかをやりとげた瞬間に感じる達成感。

その瞬間に感じる達成感はまさにフロー体験、まさに感動の一瞬です。

でも一瞬の感動を一度でも体験すれば人生とはこういう一瞬のためにあるものだときっと気づくと思います。

仕事というのはこういう一瞬を感じるためにあるものだということに気がつきます。

それからは仕事で努力しないといけないことがあったとしてもこのしんどさはあの感動的な一瞬のための前奏のようなものだと思うことができるようになります。

そうなればしんどさや努力というものが意味を持つようになってくる。

仕事というものにやりがいを感じるようになってくる。

そこまでくればもう、あなたにとって仕事というものは面白いもの以外のなにものでもなくなっているはずです。

人生というものは長いし仕事というものもとても長い時間を費やすもの。

その長い時間にはつらいことやしんどいこともいっぱいあると思います。

でもそれは一瞬の感動よってすべてが意味あるものに変わります。

そしてそのためにはやり残したこと、『未完の行為』を残さないように全力でぶち当たるということが必要になってくるんです。

さてどうでしょう。

あなたには『未完の行為』はあるでしょうか?

僕にもやっぱり少し『未完の行為』はあります(^_^;

でもこれからの人生でそれを埋めていくことで自分の人生にもっと意味を与えることができればなと思います。

そうすれば仕事はきっともっともっと面白くなることでしょうから。


今日のポイント

■一生懸命がんばった先にフロー体験、仕事の面白さがある。

■やり残したこと、『未完の行為』があるとそれにひきずられてしまう。

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